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毎月分配型投資信託はよく売れる?!
投資信託と聞くと、毎月分配型投資信託をイメージされた方は多いのではないでしょうか?各証券会社や銀行での販売ランキングを見てみると、必ずと言って良いほど、上位には毎月分配型投資信託が数多くランクインしています。
ここではまず、日本全体での投資信託純資産残高のランキングを見てみましょう。日本国内の投資信託は全部で6,000本以上あります。(2018年9月末時点)その中で純資産が多い投資信託=よく売れている人気投資信託のランキングがこちらです。
黄色の網掛けのものが毎月分配型投資信託の商品です。 上位1位~3位を独占、上位10本でみると実に7本がランクインしていますね。
毎月分配型投資信託における分配金とは?
ここで毎月分配型投資信託の特徴である「分配金」について解説します。預金で利息を受け取るイメージと比較してみましょう。下記の図をご覧ください。
左上図のように、分配金を銀行の預金金利と同じように考えておられる方も多いと思います。しかし、実際は右上図のように運用している資産の内側から分配金を出すのが正しいイメージです。
そして、ここが一番大事なところですが、収益以上に分配金を出している毎月分配型投資信託は約1,600本中、約1,100本を超えています。(下図参照/2016年5月末時点)つまり、毎月分配型投資信託の約7割は運用収益以上の分配金を出し続けているということになります。
収益以上に分配金を出すとどうなる?
あるノーロード投資信託(購入手数料ゼロ)を基準価額10,000円の時(通常投資信託は基準価額10,000円からスタートします。)に100万円購入したとします。
例えば1%値上がりして10,100円になったときに200円の分配金を出した場合は基準価額は9,900円になります。この時、元本の100万円はどうなるのでしょうか?
元本部分は99万円になります。そして200円の分配金をもらっていますので2万円の分配金を貰っている状態になります。この場合、2万円の分配金の内、1万円は収益から、もう1万円は元本を切り崩していることになるのです。
海外でも毎月分配型の商品は数多く販売されていますが、分配金の原資に関する部分が異なります。
日本、米国、イギリスを比較すると、実は評価益から出しても良いとしているのは日本だけです。評価益から出しても良いということが、結果的に運用収益を超えて分配金をだすことに繋がっているのです。
投資信託の対象として、株式を組入れた投資信託もあります。株式の場合、長期的に株価が上昇する可能性がある対象でも、分配型は定期的に分配原資を作るため保有している株式を一時的に売却し現金化を行います(配当金以上に分配金を出す場合)。
そのような点で、毎月分配型は、長期保有するという観点では資産成長型(年1回配当)に資産効率を考えるとパフォーマンスが劣ってしまうケースが多いといえます。
長期的な資産形成が目的なら、おすすめできるのはどんな投資信託?
- 毎月分配型投資信託に関して、日本では分配可能原資が世界的にも範囲が広いため、運用収益を超えた分配が出ている投資信託が多い。
- 『長期的な資産形成』を目的とするうえでは、運用資金を定期的に分配してしまう分配型投資信託は効率的とは言えないため、分配金が出ない(年1回型)投資信託での運用が向いていると言えます。
このコラムの執筆者
道谷 昌弘
株式会社Fan IFA
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AFP(日本FP協会認定) 大学卒業後、大手証券会社に入社。国内営業部門にて法人・個人の資産運用アドバイスを行う。8年間勤めたのち退社し、より中立的なアドバイスができるIFA(独立系投資アドバイザー)に転身。現在は富山を拠点に、全国各地のお客様に幅広くコンサルティングを行いながら、お客様にとって本当に良い商品提案を日々追求している。